稼働モニタリング-導入事例【小杉織物株式会社様】
2018-04-24
浴衣の帯専業メーカーの小杉織物株式会社様(福井県坂井市)の導入事例をご紹介いたします。
織機64台に対し、2017年12月に先行10台を試験導入し、2月からは残りの54台を設置、全64台の装置で実証実験にご協力を頂いています。
会社概要
小杉織物株式会社(福井県坂井市) 代表取締役社長小杉秀則
帯の企画製造を行い、浴衣の帯の国内シェア約90%超を占める製造メーカーです。
3代目になる小杉秀則社長は40年前に家業を継いでから自社ブランド品への転換を図るとともに、中国に負けないコスト競争力を確立しただけでなく、高品質な帯を生産することで国内生産にもかかわらず圧倒的なシェアを維持する業界のリーダ企業まで成長させてきました。
旬の新鮮なデザインを生み出し、生産性の高い帯専用の繊維を24時間365日稼働させることでその競争力を生み出しています。
システム導入概要
工場には、つながった2棟と別棟の計3棟に置かれた全64台の織機があります。
電流計測ユニットは、織機の側面や工場の支柱に取り付けしました。装置を停止することなく、モータの電線にクランプ型CTセンサを挟み込、計測ユニットを装置に磁石で貼り付けるだけで終了。取り付け作業は約3時間で完了しました。
ゲートウェイは、工場を見晴らせる高い位置に設置しました。このゲートウェイ1台で、工場一棟の中に設置してある全装置の情報を集約し、このゲートウェイからインターネット上のサーバにデータを送信しています。
稼働状況のモニタリングは事務所内の大型ディスプレイ、スマホなどで確認しています。
導入後の結果
小杉織物様では、毎日行われている全体ミーティングにおいて大型ディスプレに表示される64台の織機の稼働状況を社員同士で情報共有し、稼働率アップなどの改善につなげています。
モニタリング画面1
これはとある日、とある装置の稼働状況です。緑色の部分が動作中、赤い部分が停止中を指しています。
このデータでは、動作/停止を頻繁に繰り返してしまっていますが、後半は停止することなく動作するようになっています。前半は装置に傷があり、それが糸切れを引き起こしてしまっていたのですが、メンテナンスをした後は停止することなく安定して動作するようになったという結果です。
このように稼働状況が見える状態になっていれば、見るだけで装置に何かトラブルが発生したことを理解することができますが、データが記録されていないと、「頻繁に止まってるみたい」と言った曖昧な表現でしか伝えることができず、どの程度の頻度で停止しているのか、問題がありそうなレベルなのか、などが解りません。装置の稼働状況をデータ化することで、装置の状態を把握するまでのスピードが格段に向上することで稼働率が改善するだけでなく、品質低下につながる糸切れの回数を減らすことに成功しました。
モニタリング画面2
この結果は、システム導入の直後と1ヶ月後で、装置の稼働率、装置の停止回数を比較した図です。稼働率は10%改善し、また停止回数は20%削減することができています。それにより、平均の連続稼働時間は35%改善する事ができました。
小杉社長は、「中小企業の工場は社長や管理者が一人で見渡せる規模で、経験と勘でおよそまかなえている。ただ、皆が見える現場になれば、より的確に現場改善ができる。」「納期管理の効果も大きい。これで確実に稼働率は上げられます。」と今後のより一層の効果に期待していただいています。